「法定相続情報一覧図」って?突然の相続手続き、私が体験したリアルな現場

みなさんこんにちは。
株式会社すまいるの高橋です。
前回、「続く」とお伝えしながらびっくりするほど時間が経ってしまい
大変失礼を致しました。

前回は、最愛の母が突然他界したことをお話しましたがその続きをお話させてください。

母は持病もほぼ無く、当日の早朝まで普段と全く変わりない日常を過ごしていた為に本人も家族もなんの心構えも準備もなく旅立ってしまいました。
生前「コロッと逝きたい」が口癖だった母は、今頃人生の目標を達成できて、大喜びしながらひそかに空の上から慌てている私たちを見ているかもしれません。

悲しみに暮れたまま慌ただしく葬儀も終わりましたが、年金等の手続きや金融機関への届出等、初めてで戸惑うことばかりでした。
まず、何度も取り寄せすることが大変だと聞いていた相続人の確認に必要な戸籍ですが、「法定相続情報一覧図」を法務局に申請することにしました。

「法定相続情報一覧図」とは・・・?

法定相続情報一覧図とは、故人である被相続人と相続人との関係が表になった書類です。
簡単に言うと「相続関係が一目でわかる公的証明書」であり、法務局の登記官により証明されます。
この一覧図は2017年5月から運用を開始した「法定相続情報証明制度」で扱われる証明書です。
元々は、所有者が亡くなったあとも相続登記が行われずに放置されている不動産が増加していたため、相続登記の促進を目的として登記手続きを簡略化するためにできた制度だったのですが、最近では銀行口座の名義変更・解約や相続税の申告における戸籍謄本の代わりとして使用できるようになっています。
また、相続手続きにおける相続人の負担軽減もできます。
今までは、相続人は戸籍謄本などの書類の束を手続き先ごとに提出する必要があり、大きな負担となっていました。
この制度により、最初に戸籍謄本等の束と一覧図を法務局に提出すれば、認証文が付いた写しが交付されます。これを利用することで、その後の相続手続きでは戸籍謄本の束を提出する必要がなくなります。

法定相続情報一覧図が使える手続きの場面としては、以下のようなものがあります。

  • 被相続人名義である不動産登記や有価証券の名義変更
  • 自動車などの名義変更
  • 預金の払い戻し
  • 相続税の申告
  • 遺族年金、未支給年金等の年金手続き

また確認が必要ですが、一部の民間会社の保険請求も可能です。
従来、これらの手続きでは、相続関係の証明となる戸籍謄本等の束を提出する必要がありました。
ひとつの手続きで提出し、返却してもらうまで待ったうえでまた次の手続きで提出するか、手続きの分だけ一式を用意するといった煩わしさがあり、大きな負担でした。
一覧図の写しを提出することで、これらの手続きの簡略化ができます。
この一覧図ですが法務局でなんと無料で何枚でも必要な枚数を発行して頂けます。

法務局に申請するための必要書類は

  • 被相続人(亡くなった人)の戸籍謄本および除籍謄本
    (被相続人の本籍地である市区町村役場で取得 )
  • 被相続人の住民票の除票
    (被相続人の最後の住所地があった市区町村役場で取得)
  • 相続人(残された親族)の戸籍謄本または抄本
    (各相続人の本籍地である市区町村役場で取得 )
  • 申出人の氏名、住所が確認できる公的書
    (運転免許証・マイナンバーカード・住民票の写しなど)
  • 各相続人の住民票の写し

住民票などは取り寄せがとても簡単になりましたが、現在の戸籍の前の情報である除籍謄本や改製原戸籍は保管している市町村でしか取り寄せができません。
父と母は初婚同士で子供も私と妹の二人のみでとてもシンプルだと思っていたのですが、実際には父と母が結婚するまでに果たして婚姻歴がなかったのか、実子がいなかったのかを出生時からさかのぼって一つずつ辿っていく必要がありました。
母からは大阪市内で生まれ、一度だけ引っ越しをしたと聞いていたのですが
実際には幼少期に結構転々と引っ越しをしてそのたびに戸籍も移動していたようで、現在では存在しない地名なども含め、何箇所にも取り寄せの申請をする必要がありました。

できれば母と一緒に思い出話などを聞きながらその場所たちを巡ってみたかったなと
母の写真を懐に持ちながらいくつもの市町村を回りました。
離れて暮らす妹の書類なども取り寄せし、記入見本を見ながら一覧図を自身で作成し、法務局へ持ち込みました。
が!!法務局のチェックがすばらしく細かい(;^_^A
(重箱の隅をつつくような・・・と言ったらお叱りを受けそうですが)
住所の「-」の長さまで一字一句違ってはいけないそうで何度も出直し修正を重ねました。
ようやく手にした一覧図は効果絶大?で
銀行や生命保険などの手続きもすべてこの一枚で申請することができました。

今回のことを通して、自分自身もいつどうなるかわからないことを身に染みて
感じ、日々の慌ただしさに紛れて何も手を付けていませんが、勧められるがまま作ってしまっているトランプのような数のクレジットカードや引き落とし先ごとに分かれている銀行口座など残されて困るものを早急に処分して色々断捨離と身辺整理をしなければ、と反省している今日この頃です。
自宅などは母名義ではなかったので相続登記が必要な手続きは無かったのですが、
2024年4月1日から、相続や遺贈で不動産を取得した相続人は、その所有権を取得したことを知った日から3年以内に「相続登記」を申請することが義務化されました。この義務を怠り正当な理由がない場合、10万円以下の過料が科されることがあります。過去に相続した不動産も対象で、2024年3月31日以前の相続は2027年3月31日までに登記を申請する必要があります。
もし相続してそのままの方がいらっしゃったらぜひ早めにお手続きをしてください。



【この記事を書いた人】

高橋 育子

高橋 育子
株式会社すまいる 代表取締役

障害福祉サービス事業の物件を多く手掛ける不動産屋さんを経営しています。
自身が障害を持つ子の親でもあり、障がい者(児)が安心して暮らせる社会の実現を心から願っています。

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